何度か開催されて定番化してきたキューブドラフト(ファントムドラフトと書いた方がいいか?)
初心者には敷居が高いのにファントムの解説がされているところがほとんどないので書いてみることにする
回数もそれなりに重ねてきてセオリーは掴んできたと思う……が、2週間くらいで終わって毎回中身も変わるのでいかんせん何が正しくて何が間違いなのかがイマイチわからない。参考程度に流し読みしてくれればと


・基本情報
現状ではアリーナ版と発明家の2種類のキューブがある。前者はレアリティが高くて派手で強力なカードが満載、後者はカードパワーがやや落ちてシナジーが重要、と言うのが大まかな違い。カードが弱めでお祭り感が薄いからかアリーナ版より発明家の方が人は少なめに感じる。自分としては発明家の方がリミテッドのオールスターって感じがして好き
セットの総数は550枚前後。うち土地が約50枚なので呪文は500枚ほどになる。多色は各色ごとに6枚程度で3色以上は数枚だけしかない
1パックの枚数は15枚だが、通常なら基本土地の枠にも普通にカード入っているので実質1枚分多いと言える。が、1パックに土地が何枚も入っていることがあるのでピックの選択肢がやたらと狭いこともよくある
報酬はゴールド参加なら5勝すれば回収できる。ピックしたカードが手に入らない代わりにゴールドが多めに返ってくるのでそれなりの元手があるなら回数は重ねやすい


・アーキタイプ
通常のリミテッドより枚数が多くて強力なカードばかりなので何を取ればいいのか迷う
そんなときはとりあえずカード一覧の多色のカードを見ればどの色がどのような戦術を推奨されているのかがわかるので指針にしやすい
ただし、通常のドラフトよりもカード数が格段に多いので最初から特定のアーキを意識しすぎるとキーカードが来ないとろくに動かないデッキになったりする。どちらかと言うと単色を重視して広く受けられるようにしながら特定の方向を目指せるものが流れて来たらそれに沿うようにピックしていくといい
例外はライブラリアウト(以下LO)。LO狙いのカードは普通のデッキでは使い道がなくて1週してくることが多いので 夢を引き裂く者、アショク/Ashiok, Dream Render遺跡ガニ/Ruin Crab悠長な再構築/Patient Rebuildingあたりの強力なLOカードが初手付近であったらとりあえずピックしておいて流れが良さそうならLOカードと除去をかき集めるだけで強力なデッキになる


・アグロやミッドレンジ
パワーカードが多いとは言え根本はリミテッドなのでクリーチャーでライフを詰めていくのが基本
通常のリミテッドと違ってサイズも能力も優れるものが多く、カードパワーに目が行ってランプやコントロールに行く人が多い傾向があるので序盤からしっかりと殴っていくだけであっさり勝てることもある。特にファントム開催初期は環境の把握ができてないからかその傾向が強い
軽いカードでもレシオが良かったり、フラッドの受けや除去耐性持ちだったりでマナ以上の働きをしてくれるものが多い。通常のリミテッドの感覚と違って1マナから動いていけるのが理想と言える
フィニッシャーも4~5マナでゲームを決定づけるくらいの強力なものがいるので頂点はその辺りに設定し、長期戦になったときにフラッドの受けになったり膠着を打破したりできるものがあるようにするとバランス良く戦える
天敵の全体除去が通常のリミテッドとは比較にならないほど多い環境なので除去耐性や死亡でトークンを残すもの、墓地から戻れるもの(脱出や不朽)は特に重要度が高い


・ランプやコントロール
1枚でひっくり返せるカードが多数あるので素直なビート以外の勝ち方も考慮に入るのがキューブの特徴の一つ
マナ加速から大型を叩きつけたり、全体除去と時間稼ぎを多めにして序盤を凌げれば巻き返しは難しくない
ただ、重くて強いカードが初手付近で来たと言うだけで安易にこれらを選ぶのはリスクが高い。アグロの速度も早いのでいくら強いカードがあってもそれに届く前にやられてしまう。マナ加速orコントロールできるカードと強力なフィニッシャーが揃ってやっと勝てるのでやはりビートよりは不安定さがある
やるなら精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon副陽の接近/Approach of the Second Sunのようなそれを目指せば勝てるくらいの絶対的な1枚が欲しいところ
これらを目指す場合リミテッドの基本であるマナカーブ理論に固執しすぎて寄せ集めになると後手に回るだけになりやすい。アド損しにくいカードでしっかり場を固めつつ、勝ち筋をドローで引き込んだりしていけるようにピックしていきたい


・色拘束
カードパワーが高い分だけ色拘束も厳しい。3マナのダブルシンボルを2色均等に取ったりしたら簡単に事故を起こすし、初手付近で強いからと色拘束が強いカードを取っても後に使えなくなることがしばしば
強カードがわんさかあるファントムでは「事故の可能性があってもうまく出てくれれば有利になれる」「弱いカードばかりなので3色目をタッチする」と言う危険性を犯す必要は薄い
色拘束がきつい分だけ多色地形も豊富に用意されている意識して集めれば通常のリミテッド以上に安定させることも可能。呪文に関しては最後の方に流れてくるカードでも十分な穴埋めになることが多いのでデッキに入るか微妙なカードを取るくらいなら現時点で使う目処がなくても土地を取るくらいでいい。特に色を決めかねる初手付近での寓話や未開地は優先度が高い
が、土地が4枚も5枚も入っているパックが平気で存在する関係で極端に土地ばかり取っていると呪文の数が揃わない可能性があることだけは注意


・単色
強力なカードが多数あるファントムならば単色でも十分強力なデッキが組める
色拘束が無視できるので事故が減り、多色では敬遠されがちな色マナの出ない特殊地形をフラッドの受けとして採用しやすい
ベナリアの軍司令/Benalish Marshalゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirlerなど単色でしか使えないカードを見れば他に単色をやってる人がいるかの判別もしやすい
白赤黒は単色向けのカードが用意されている傾向にあるのでそれらをやるなら単色気味にピックしていって空いてそうなら単色に行く選択肢を常に持っておきたい
特に白は単色向けカードが強くて、赤白や白青などのビート志向の強い色から移ってくるor単色気味からそれらに移ることが容易なのでやりやすい


・プレイング
カード枚数が500枚はあって環境を熟知しても何が出てくるかを予測するのは難しいので相手が何をしてくるかよりも自分がすることを間違えないようにする方向に全力を尽くしたい
起動能力のある特殊地形は通常のリミテッドよりも高頻度で使われ、構築でもあまり見ないものもちらほらあって、存在を忘れやすいので注意
全体除去もセット内に3枚も4枚もあったりするので相手が不穏な動きをしたら手札に温存するように
逆に通常のリミテッドでは普遍的に使われるタフネスだけが高い壁や修整を与えるコンバットトリックは少ないのでほとんど考慮しなくていい


根本的なところはリミテッドなので序盤からしっかりと殴っていく、そうでなくともテンポを意識して軽いところから動けるようにするってことを意識すればだいたい何とかなる
カードパワーが高くて変なピックをしていても最終的にはそれなりのデッキができる。逆に言えば一目で分かるほど明らかな失敗デッキになることがないのでしっかり考えないと何がダメだったのかがわかりにくい
普通のドラフトよりもピックに性格が出やすい面もあり、自分みたいなリミテッドはとりあえず殴っていけみたいな志向だと自然にピックしているだけでアグロに組み上がってたりする
せっかくのファントムだし、値段も普通の対人ドラフトより安いので冒険して色々やってみることも大切。これだけの枚数があるファントムを何度もこなせば通常環境のドラフトが平和に見えてきてうまくなってくる……はず

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